親族経営で「責任だけ重くなる」構造

―― 権限・役職・現場が噛み合わない理由

なぜ「自分だけ重い」と感じるのか

親族経営の現場で後継者の立場にいると、
「責任は増えているのに、物事が前に進まない」
という感覚を持つことがあります。

期待されていないわけではない。
むしろ、任されている。
それでも、判断しても現場が動かない。

この違和感は、
本人の能力や覚悟の問題として片づけられがちですが、
実際には 構造の問題 であることがほとんどです。


責任が先に渡され、権限が後回しになる

事業承継では、
段階的に役割を移していくことが一般的です。

その過程でよく起きるのが、
「責任だけが先に渡される」状態です。

  • 数字の結果は任されている
  • トラブル対応も任されている
  • しかし、決裁や変更の権限は残ったまま

形式上は引き継ぎが進んでいるように見えても、
実務上の判断権限や、
周囲の認識は旧体制のまま、というケースは少なくありません。

責任を果たそうとすればするほど、
身動きが取れなくなる構造です。


役職が「機能」ではなく「立場」になる

さらに状況を複雑にするのが、
役職と実務能力のズレです。

親族経営では、
役職が「機能」ではなく
「立場」や「年功」として扱われることがあります。

  • 数字を見ていない
  • 全体最適より部分最適で判断する
  • 現場の前提を理解していない

こうした状態でも、
役職としての発言力だけは残ります。

その結果、
判断は上にあるのに、
責任は下に降りてくる、という
ねじれた構造が生まれます。


なぜ現場は信用しなくなるのか

責任・権限・役職が噛み合わない状態が続くと、
現場には変化が起きます。

  • 判断が二転三転する
  • 説明がない
  • 言っても変わらない

こうした経験が積み重なると、
現場は「考えない方が安全」になります。

これは怠慢ではありません。
合理的な防衛反応です。

現場が止まる理由は、
やる気や能力の問題ではなく、
判断の軸が見えなくなることにあります。


まとめ

ここまで見てきたように、
親族経営で責任だけが重くなるのは、
誰か一人の問題ではありません。

設計が曖昧なまま承継が進むことで、
後継者も現場も、
消耗する構造が生まれます。この構造の先で、
後継者自身に何が起きるのか。
次回、その「結果」に焦点を当てます。


※本記事は特定の個人・企業を批判する目的ではなく、
親族経営・事業承継の現場で起きやすい
構造的な問題を整理したものです。

※現在、親族経営・事業承継の現場整理に使える
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